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地域通貨によるコミュニティの再生

第7章 これからの地域通貨

現在、地域通貨は、日本国内において約170ともいわれている。全国的に有名な地域通貨は第3章で触れた。地域商店街の活性化のような地域経済の活性化、地域における助け合い、地域の環境保全といったコミュニティの再生を目指す目的で地域通貨が各地で実施されている。冷たい通貨(法定通貨)に対して、温かい通貨(地域通貨)で冷たい通貨を補完するものとして今後も進展していくものと考えられる。

人々が地域で生まれ、地域で育ち、人間として人生をまっとうするとき、人々との助け合い、心を通わせ、人生を精一杯幸せに生きたという満足感を温かい通貨である地域通貨が与えることが出来るならば、地域通貨は、人々が地域に貢献し、地域に活力をもたらす原動力となり得るであろう。

第1節 地域の相互扶助、経済の活性化等いろいろな分野で進展する地域通貨

地域通貨は、相互扶助を促進する手段として進展してきた。1930年代の世界恐慌の時点では、利子のつかないむしろ減価する地域通貨を発行することにより地域の失業者に職を与え、減価することから地域通貨の循環を促進し、経済発展をしたが、法定通貨と競合するということから国家権力により禁止されてきた歴史がある。

アメリカやカナダでは、経済の活性化を目的としたものが多く見受けられるが、イギリスでは、貧困者の救済やコミュニティ・ボランティアの活性化という側面から導入している場合が多い。日本では、地域内の相互扶助を目的にして導入されている。一歩進めて相互扶助プラス地域経済、特に地域の商店街の活性化を目指したものが多い。

また、コミュニティの環境問題を解決するため、ゴミ問題(ゴミの堆肥化等)、買い物袋、買い物容器持参の場合にエコポイントを獲得し、このエコポイントとエコマネーを交換し、環境保全にも役立てられている。

地域通貨の根本は、市民活動である。市民活動が活発化すればするほど法定通貨では解決できないボランティア的な活動に地域通貨が大きな役割をしてくることが予想される。

高齢化が進む現在、介護保険によるサービスが受けられないケースが多々ある。介護保険の狭間にあるサービスを補完するために、地域通貨はこの分野でも更に進展していくものと思われる。

第2節 ITをとりいれて進展する地域通貨

第3章で見てきたように、神奈川県大和市地域通貨「LOVES」の事例のように、最近、電子自治体として各地でICカードが普及しだしている。

大和市(人口21万7千人)では、平成14年4月から住民の9万1千人(人口の約42%)にICカードが手渡され、本格的にICカード事業が稼動している。商店にカードリーダー、パソコン等が設置され電子自治体が推し進められている。

大和市のICカードは、地域通貨「LOVES」の機能を組み込んでいる点に特徴がある。「住民情報系」と「LOVES」系のサーバーは別々に管理されている。地域通貨「LOVES」は、最初に1万ラブが入っており、ボランティア活動、不用品の交換、地元商店街でのサービスなどに使用される。1年後、全て1万ラブにリセットされる仕組みになっている。将来は、個人間だけでなく、環境保全、緑を守る等のプロジェクトの寄付に対して「LOVES」を贈呈する等の広がりが出来そうである。都会における地域通貨は、このようなICカードを利用したものへと進展していくことが予想される。

しかし、一方でICカードによる地域通貨がはたして、地域通貨本来の相互扶助の実感を売ることが出来るのかという疑問も投げかけられている。「直接地域通貨に書き込まれた情報が人と人と媒介する上で貴重なデータとなっている」、ということが地域通貨「おうみ」の実際面から報告されている。

また、利用者は電子データには興味を示さない傾向にあるという。ICカードという合理的なシステムの中に人と人とのコミュニケーションやコミュニティ・環境・福祉などの価値や人間的な要素をどのように組み込んでいくのかが今後の課題となっていくであろう。今後の行方を見守る必要があろう。

第3節 コミュニティ間、世代間の交流促進に有効な地域通貨(閉鎖系から解放系へ)

ある一部の地域で流通する地域通貨も、その地域で流通するだけではなく、広く他の地域と提携して流通地域を広げている場合がある。たとえば、千葉の「ピーナッツ」では、ピーナッツの兄弟姉妹版ともいうべき「あんが」が、成東町と東金市で立ち上げられている。

農村と都会との交流に地域通貨が有効に活用され広域的な活動となっている事例がある。都会から有機農業を推進する農家の手伝いをすることにより、地域通貨を手に入れ、都会で地域通貨を使う。農家は、農作物を都会で売るときに、円と地域通貨で販売をする。地域通貨が農村と都会とを循環する。山梨県白州町の農家へ都会からお手伝いに出かけ、渋谷のアースディマネー「r」を手に入れことにより、渋谷と白州町を地域通貨が循環し、農村と都会との交流が行われている。千葉県野栄町と千葉県の「ピーナツ」の関係も同様である。

中山間地域を持つ和歌山県において、第6章で見てきたように、地域通貨を媒体として農林業と都会の人々との交流を促進するために、都市生活に疲れた人々を癒す豊かな自然と生活を支える第一次産業を大いにアピールし、農林生産物を都会で「円と地域通貨」で販売するという広域的な地域通貨へと進展していくものと思われる。(第6章のイメージを参照)

また、市民活動の一環として環境整備などのまちづくりに地域以外の人も参加したプロジェクト的な活動に地域通貨が有効に活用されることが考えられる。

例えば、小、中、高生が地域のイベントに参加した場合、地域通貨を渡すことにことにより地域の人びとや、高齢者との交流も生まれる。

このように、地域通貨は世代間、コミュニティ間において、従来のような閉鎖的な地域から広く開放された地域通貨へと進展していくことが考えられる。このことが、これからの新しいコミュニティを創っていくものと思われる。

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