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地域通貨によるコミュニティの再生

第5章 和歌山市和歌浦地区への「地域通貨」導入検討

全国各地で地域通貨が実施されているが、和歌山地域では一部に地域通貨が立ち上がりつつあるが、残念ながら本格的な地域通貨は、まだ立ち上がっていない。(田辺市においてNPO和歌山県健康アシスト協会による地域通貨「きしゅう券」が平成15年1月から発行され、4月から本格的に稼動する。新宮市においては、「かみくらエコマネー」が3月9日から発行されている。)一方、地域通貨に関する書物、解説書が多数発刊され発表されている。しかし、地域通貨を実際に立ち上げ、何が問題で何が課題であるのかを実践を通して検討してみることは、書物から得られる情報よりも現実みのある知識が得られ、意義あることである。今回、和歌浦地区の明光商店街を核として、コミュニティと商店街の両者を複合させ、「コミュニティの再生」と「地域経済の活性化」を目的とした地域通貨の導入の可能性をさぐった。

第1節 和歌浦地区の現状
第1項 和歌浦地区の範囲

万葉集に山部赤人の「若の浦に 潮満ち来れば 滷を無み 葦辺を指して たづ鳴き渡る」と歌われたほど、和歌浦地区は、歴史的にも風光明媚な景勝地である。

(この歌は、神亀元年(724)10月5日に聖武天皇行幸の折り、詠まれたもの)

和歌浦支所管内は下図の新和歌浦、和歌浦西、和歌浦中、和歌浦東、和歌浦南、和歌川町である。

和歌浦地区地図

第2項 和歌浦地区の人口推移

和歌浦地区の人口の推移及び平成10年と平成14年とを比較した人口増減を下図表に示す。平成10年では人口11,417人であったが、平成14年では10,956人で461人の減少となっている。平成10年と平成14年の差の中で、人口減少の大きい地区は和歌浦東2丁目、和歌浦東3丁目、和歌浦中2丁目、和歌浦中3丁目などである。

一方、増加地区は和歌浦東1丁目、和歌浦西1丁目、和歌浦南2丁目である。

表 和歌浦地区の人口推移
表 和歌浦地区の人口推移
図 和歌浦地区の人口推移
和歌浦地区平成10年〜平成14年の人口増減

第3項 和歌浦地区の世帯数推移

和歌浦地区の世帯数の推移及び平成10年と平成14年の世帯数の増減を下図表に示す。世帯数は平成10年4,614世帯であり、平成14年では4,616世帯と若干増加している。特に、平成10年と平成14年を比較して減少の大きな地区は和歌浦東3丁目、和歌浦中2丁目、和歌浦南1丁目などである。

一方、世帯数が増加している地域は、和歌浦東2丁目、和歌浦西1丁目、和歌浦南2丁目、和歌川町である。

 和歌浦東2丁目は、人口は減少している一方で世帯数は増加している。和歌浦西1丁目は人口、世帯数ともに増加している。

表 和歌浦地区の世帯数の推移
表 和歌浦地区の世帯数の推移
図 和歌浦地区の世帯数の推移
和歌浦地区平成10年〜平成14年の世帯数増減

第4項 和歌浦地区5歳階級別人口

和歌浦地区の5歳階級別人口を下図表に示す。平成14年において49歳以下を境として極端に人口が減少している。50歳以上の人口割合が高く老年人口の多い地域となっている。

平成14年においては女性が男性よりも794人多く、特に老年者に多い。

和歌浦地区5歳階級別人口(平成10年、平成14年)
和歌浦地区5歳階級別人口(平成10年、平成14年)
(↑クリックすると、大きな図が表示されます)

平成14年 和歌浦地区別の男性・女性の人口及び世帯数
平成14年 和歌浦地区別の男性・女性の人口及び世帯数

第5項 和歌浦地区の65歳以上の人口動態

平成10年から平成14年までの男女別65歳以上の人口割合では平成10年22.7%から平成14年26.1%に増加している。また、平成14年では65歳以上の人口に対する65歳以上の独居人の割合は28.1%に達している。平成14年、独居人803人のうち75.8%が女性の独居人である。また、民生委員調査では、独居人の80%前後が健康人である。

和歌浦地区65歳以上の人口動態
和歌浦地区65歳以上の人口動態

第6項 和歌浦地区商業の状況

和歌浦地区の卸業、小売業の商店数、従業員数、商店販売額を下図に示す。

商店数は平成6年から平成11年までの5年間で12店ほど減少していおり、従業員も25人ほど減少している。販売量は平成9年上昇しているが、平成11年においては平成6年に比べ2,500万円程度減少している。

和歌浦地区商業の状況(卸業、小売業)
和歌浦地区商業の状況(卸業、小売業)

第7項 明光地区商店街の概要

明光地区商店街の歴史は古く、明治初期にさかのぼるという。明治42年路面電車敷設時に旭橋が架橋され、幹線道路沿いの商店街として発展してきていた。戦後、被災を免れたことにより、和歌山市の中心的存在により一層繁栄していった。しかし、路面電車から車社会へ移行し、和歌山東照宮、天満宮、玉津島神社、片男波等歴史文化のある風光明媚な観光地としても栄えたが、幹線道路から外れていることや、大型店の進出もあり、次第に客足が遠のいてきているのが現状である。

明光地区商店街には、明光商店街協同組合(加盟店15店、役員8名)、協同組合明光マーケット(加盟店9店、役員6名)、ニュー明光商店会(加盟店14店、役員7名)が独立して存在している。

商店街には空き店舗がみられ、店主の高齢化と後継者難のため、及びテナント形式ではなく住居を兼ね備えており、貸し店舗とすることが難しく、商店の閉鎖を余儀なくされている。

(資料:和歌山商工会議所「明光地区商店街診断報告書」平成14年2月)

図 明光地区商店街の範囲
図 明光地区商店街の範囲

以上和歌浦地区の現状を見てきたが、このことから浮かび上がってくる和歌浦地区像は、

  1. 人口が減少している地域が多く、増加している地域は、ある一部分である。和歌浦東2丁目のように全体として人口は減少しているが、世帯数は逆に増加している地区もある。
  2. 老年人口は高くなっており、独居人の人口も多くなっている。独居人のうち約80%のひとは健康人であり日常生活に支障はない。特に、女性の割合が多い。
  3. 商店の販売量も人口の減少による購買力の低下や和歌浦地区以外の商店への流出等により販売量が低下している。

であり、地域通貨を活用する地域として意義のある場所であるように思われる。

第2節 和歌浦地区への地域通貨導入の検討
第1項 地域通貨導入のための途中経過
 (1)地域通貨導入のための目的の明確化

第1節で和歌浦地区の現状をみてきた。和歌浦地区は古くは万葉時代からの景勝地として知られ、歌にもよみこまれている名刹である。近くには、和歌山東照宮、天満宮等の名跡があり、かつては和歌祭り等で賑わった地区でもある。しかしながら、そこで生活する人々は年々高齢者の割合が高くなり若年層の割合が減少し、全体に人口が減少し活力が減退してきている地域でもある。

老若男女が行き交い賑わいのあるまちの復活はみんなの願いである。

下図のように、和歌浦地区へ地域通貨を導入する目的を明確にするために、既存の地域通貨の特徴をまとめ、これを参考として、基本的な目的を「和歌浦地域の自然、歴史、文化、景観保全と地域経済の活性化」とした。

和歌祭りに始まり、昔の賑わいが復活するならば和歌浦地区が活性化し且つ、地域経済の活性化につながる。特に、和歌浦地区の明光地区商店街にとってかつての賑わいを取り戻すことは、商店街の活性化につながるものと思われる。

上記目的から和歌浦地区と明光地区商店街を交えた和歌浦地区で流通する地域通貨を考える。


(↑クリックすると、大きな図が表示されます)

 (2)地域通貨に興味をもつ人を増やす

地域通貨を有効なものとするためには、地域通貨を使ってもらうメンバーを増やす必要がある。地区内の人々への地域通貨を理解してもらうことが大切である。

そのために、チラシ(下図)を作成し、地域通貨の分りやすいビデオ教材として「NHKこどもニュース(平成14年11月9日放送)」を収録し提供すること、そして、地域通貨体験用の「さわやか福祉財団の体験ゲームキット」を用意することで地域通貨を理解してもらおうと考えている。この体験ゲームキットは、送料着払いで容易に入手が可能である。

まず、和歌浦地区にある活動団体、連合自治会、各地域の自治会、老人会、婦人会、和歌浦薪能、商店街地区、とうげん塾等へ説明の予定である。(とうげん塾へは平成15年1月25日に実施)

 (3)流通範囲を決める

和歌浦地域の流通範囲は、和歌浦地区を対象とする。

 (4)中心となる組織づくりをする

和歌浦地区で地域通貨を実施するためには、和歌浦地区で中心となる推進組織が必要である。現在、明光商店街協同組合、婦人会等の組織を中心にできないか検討中である。

 (5)地域通貨の概要を決める。

地域通貨を進めるためには、地域通貨の概要決める必要がある。和歌浦地区の地域通貨の概要と全体のデザインを次ページのように設定した。

地域通貨「わか」のチラシ
地域通貨「わか」のチラシ

地域通貨「わか」の全体デザイン
地域通貨「わか」の全体デザイン

地域通貨「わか」の概要(案)

項 目 内   容   (案)
目的 和歌浦の自然・歴史・文化・景観保全、地域の助け合い及び地域経済の活性化
運営主体 地域通貨「わか」推進委員会(仮称)
流通範囲 和歌浦地区(新和歌浦、和歌浦西、東、中、南、和歌川町)
単位 わか
基準 1わか=1円、30分サービス=500わか
形式 紙幣と通帳の併用とする100わか、500わか、1000わかを発行する。
入会 規定の申込み用紙にて入会入会金1000円で1000わかを渡す。「してほしいこと」「できること」を登録する。
交換 基本は紙幣で交換をおこなう。
お互いにサービスの交換をして個人の通帳に記入する。
相手が見つからない場合は、事務局を通して探してもらう。
サービスを受けた人は、マイナスを通帳に記入する。
サービスを与えたひとは、プラスを通帳に記入する。
外部からのボランティアには紙幣で支払う。
有効期限 1年間で全てキャンセルし、新年度1000わかから開始する。
年間で一番プラスの人に「与え上手賞」を一番マイナスのひとに「受け上手賞」を与える。
商店への使用 地域通貨「わか」が使用できる加盟店には加盟店のステッカーを掲示する。
各商店により、使用できる範囲をきめる。(5〜10%内で)
第2項 地域通貨導入までの打ち合わせ研究会経過

明光商店街協同組合では、空き店舗を利用し、ギャラリーを開催していたが、平成14年11月で「空き店舗活性化」策の補助の期限がきていた。

明光商店街組合長さんに地域通貨の話をした時点で、地域通貨に興味をもっていたため和歌浦地区に共同で地域通貨を立ち上げることにした。

以下、「打ち合わせ研究会、研修会」等の途中経過を記す。

尚、和歌浦地区への地域通貨「わか」について継続して調査研究実践を行う予定である。

■表 地域通貨「わか」導入までの研究会、研修会

開催日 場 所 主な内容
第1回 平成14年7月26日 明光商店街空き店舗ギャラリー ・明光商店街幹部への地域通貨についての説明会
第2回 平成14年8月25日 和歌山社会経済研究所 ・地域通貨について足立ゼミヒューマンカレッジメンバーとジョイン勉強会
・和歌浦地区への地域通貨導入について
第3回 平成14年9月9日 和歌浦支所大会議室 ・地域通貨について関心のある団体等の地域通貨の取り組み状況等会議(10個人団体参加)
第4回 平成14年9月28日 和歌山ビッグ愛 ・(財)さわやか福祉財団主催「地域たすけあい研修会」における、第1分科会「地域通貨を用いたコミュニティ作り」に参加
第5回 平成14年10月24日 滋賀県近江市 ・地域通貨「おうみ」視察研修(20名参加) 市商工振興課、市商連、社会経済研究所合同研修会
第6回 平成14年11月7日 和歌山社会経済研究所 ・地域通貨「わか」の具体的な計画立案
第7回 平成14年11月19日 和歌山書道会館 ・森野栄一氏の講演会「地域通貨と地域振興」
第8回 平成14年11月29日 和歌山社会経済研究所 ・和歌浦地区への説明用資料(ビデオ、チラシ、キットについて)
第9回 平成14年12月11日 和歌山社会経済研究所 ・地域通貨「きしゅう券」の概要
・地域800班へのチラシ内容、説明資料の詰め
第10回 平成14年12月19日 和歌山社会経済研究所 ・地域通貨「わか」の概要の決定 目的、通貨名、取引形態、運営費、有効期限
第11回 平成15年1月17日 和歌山社会経済研究所 ・和歌浦「とうげん塾」への第1回説明内容等 (市商工振興課、とうげん塾幹部出席)
第12回 平成15年1月25日 和歌浦「とうげん塾」 ・とうげん塾の塾生10名に地域通貨について説明
第13回 平成15年2月7日 和歌山社会経済研究所 ・今後の地域通貨「わか」について
第14回 平成15年3月14日 田辺市和歌山県健康アシスト協会 ・地域通貨「きしゅう券」調査研究

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