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地域通貨によるコミュニティの再生

第3章 地域通貨の国内における現状

第1節 各地に広まる地域通貨
第1項 概況

国内で急速に広まりをみせる地域通貨は国内では170以上、海外では5,000以上に及んでいるとも言われている。

いま、少子高齢化に悩むコミュニティをなんとかして活性化したい、不振に喘ぐまちの商店街をなんとかして立て直したいと、国内のいたるところでこういった問題が溢れている。

この問題に取り組むもの(住民・行政)が、一つの手段として、地域通貨に注目し、さまざまなオピニオンが出され、さまざまな知恵が練られているというのが現状である。

公設のコミュニティ支援センターを民営で運営していく上で考案された方式を発展させ、先進的な取り組みをおこなっている滋賀県草津市の「おうみ」や、市民と行政の協働による地域づくりのあり方を模索する中で導入・進化をつづける兵庫県宝塚市の「ZUKA」がある。また、コミュニティ・ウエイを応用し、都市と農村交流をも視野に入れた東京渋谷発の「アースディマネー」などのように多様な取り組みがある。

第1章第2節第5項で触れたように、中小企業庁の調査報告書(「地域通貨を活用した商店街等の活性化に関する調査報告書」平成14年3月)によると、次のような類型化が行われている。

〔目的による分類〕 (1)コミュニティ志向型、(2)プロジェクト指向型、(3)経済循環志向型
〔地域による分類〕 (1)都市・中心市街地、(2)郊外・都市近郊、(3)農村・過疎地域、(4)インターネット
〔規模による分類〕 (1)実施地域と規模、(2)参加事業者数と規模、(3)形式と規模

また、北海道自治政策研修センターでは、目的別に次のように類型化を行っている。

〔第I類型〕 コミュニティの再構築・地域内交流の活性化
〔第II類型〕 市民活動・住民参加型行政システムの活発化・支援
〔第III類型〕 地域の活性化
〔第IV類型〕 広域的な地域経済の活性化

一方、これら各地での取り組みを支えている団体(考え方)に着目し、分類してみると、「さわやか福祉財団系」、「タイムダラー系」、「エコマネー系」、「LETS系」の4つのタイプに分けられ、これらが広く受け入れられていると考えられる。ただし、それぞれのタイプが相容れないのではなく、現実の地域通貨導入は柔軟性に富んだ形で取り組まれている。

第2節  地域通貨4つのタイプについて
第1項 4つのタイプの特徴

以下、4つのタイプそれぞれの概要について整理をしてみる。

(1)さわやか福祉財団系
  • 1.さわやか福祉財団の概要
  • 高齢化・少子化が進む日本の現状の中で、「新しいふれあい社会の実現」を目的に様々な活動を行っている。’91年11月に任意団体として活動を開始、’95年3月に財団法人となった。市民の立場からのシステムづくりとして、ボランティアによる地域助け合いを広く働きかけている。
  • 2.ふれあい切符制度(時間預託制度)
  • 財団では、従来から、“困ったときはお互い様”という互酬・互助の精神を具体化するための一つの有効な手段として、「ふれあい切符制度(時間預託制度)」に取り組んでいる。それは、家事支援などのボランティア活動をした時間を貯めておき、いずれ、自分や家族がサービスを必要とするようになったときに引き出して使うことができる仕組みである。
  • 3.もう一つの有効な手段“地域通貨”
  • 地域通貨には、お互いの助け合い活動を通じて、市場では価値が決められない人々の能力をも引き出し、地域で活かすことができる手段であるという側面がある。中でも、特に「時間」を単位としてサービスの交換を行うものを、さわやか福祉財団では「時間通貨」と呼び、もう一つの有効な手段として普及・推進に取り組んでいる。

「さわやか福祉財団」作成パンフレット
さわやか福祉財団」作成パンフレット

「さわやか福祉財団」作成パンフレット 「さわやか福祉財団」作成パンフレット

日本各地における「さわやか福祉財団系」の活動事例

●兵庫県神戸市  CS神戸  「らく」
●兵庫県神戸市  かもん ’21  「かもん」
●和歌山県田辺市  和歌山県健康アシスト協会  「きしゅう券」   他

(2)タイムダラー系
  • 1.タイムダラーの取引イメージ
  • 1時間のサービス提供で1単位のタイムダラーを取得する。取得したタイムダラーを使って自分に必要なサービスを受けることができる。
  • 海外では、メンバー同士のサービス交換以外にもタイムダラーが応用されている。例えば、アメリカ・ボルティモアでは、低所得者の公共住宅地域で、タイムダラーを使うことで月々の家賃が割り引かれるという取り組みが行われている。何らかの地域活動の対価として得たタイムダラーを、家賃に充当可能とすることにより、地域の犯罪の減少、生活環境の改善が見られるとされている。
  • 2.タイムダラーの特徴
  • 当初は“サービス・クレジット(助け合いの点数)”と呼ばれていた。
  • 「この世の中に役に立たない人はいない」という考案者カーン博士の言葉が示すように、サービス提供により自分も利用できるタイムダラーを得ることよりも、「役に立った」という満足感を得ることの方に価値観をおいていると考えられている。
  • タイムダラーの盛んなアメリカでは、年間を通じて多くのタイムダラーを得た会員は、タイムダラー本部から表彰状が送られ、その取り組みが評価・祝福されている。NPO法人タイムダラーネットワークジャパンにおいても、定期的に「活動を評価しましょう」と推奨している。
  • 3.ボランティア活動の“触媒”
  • ボランティアの本来の意味は、無償の行為ではなく、心からの自発的行為であるといわれている。有償・無償で区別するのではなく、その動機に着目し、貨幣経済における蓄財や利潤追求動機ではなく、自発的なボランティア活動を起こす「触媒」としてタイムダラーの利用が有効であると主張されている。
  • なお、タイムダラーの理念は、相互扶助の時間預託活動を進めようとしている多くの団体に影響を与えたといわれている。

日本各地におけるタイムダラー系の活動事例

●愛媛県関前町  グループだんだん 「だんだん」
●愛媛県新居浜市 わくわくアイランド大島 「わくわく」
●愛媛県松山市 ボランティアグループとなりぐみ 「となり」
●愛媛県松山市 グループあんき 「いまづ」
●愛媛県波方町 ゆうゆうヘルプ・波方 「ゆうゆう」
●愛媛県玉川町 ボランティアグループたまがわ 「バンブー」
●愛媛県津島町 くじら飛行 「くじら印のおたすけカード」
●徳島県阿波町 阿波町タイムダラー研究会 「あわあ」
●高知県大野見村 やまびこ会 「やまびこ」            他

(3)エコマネー系
  • 1.エコマネーの概要
  • 加藤敏春氏(現、経済産業省関東経済産業局総務企画部長、東京大学大学院総合文化研究科客員教授、国際大学グローバルコミュニケーションセンター教授)が提唱している地域通貨である。
  • エコマネーとは、様々なコミュニティ・サービスを参加メンバーが、やり取りする時に使われるものであり、エコマネーの循環によりコミュニティの再生を図ることを目的としている。
  • 相互扶助(交流)の道具から協働の手段へ、エコマネーとコミュニティ・ビジネス、コミュニティファイナンスの組み合わせを提案している。
  • 2.エコマネー・ネットワーク
  • ’99年5月設立の非営利団体である。専任の事務局スタッフを配置し、企業コンソーシアムなどの協力を得て活動を展開している。
  • 「エコマネー研究者ネットワーク」(座長:公文俊平国際大学グロコム所長、金融、情報通信、社会保障、公共経済、都市計画などの大学院・大学教授、大学院生などで構成)を組織し、エコマネーの理論を研究、構築をしている。

エコマネー・ネットワーク企画委員会

  • 3.エコマネーの仕組み
  • エコマネー参加希望者は、「できること」・「して欲しいこと」を運営団体に登録し、誰がどのようなサービスを提供しており、何を求めているかを知らせることを目的としたリストが作成される。メンバー間の取引は相対で行われ、両当事者により取引価格が決定される。直接当事者同士がバーター(サービス交換)を行う必要はなく、参加メンバーの中でバーターを連鎖的に広げる。
  • 取引に当たっては、中立的な立場にあるコーディネーターを通じてマッチングすることでより効果的になる場合がある。

エコマネーの仕組み

  • 4.エコマネーの特徴
  • エコマネーの対象となる取引は、介護福祉、教育、環境、まちづくりなど様々なコミュニティサービスに及んでいる。時間を基本単位とするが、感謝の気持ちを表すため、当事者間で“ゆらぎ”の値づけが行われる。エコマネーは流通すること自体に意味があるとされており、利子はつかず、一定期間経過後は最初の状態に戻る。また、エコマネーには円との兌換性はない。

日本各地におけるエコマネー系の活動事例

●北海道栗山町 くりやまエコマネー研究会 「クリン」
●北海道小樽市 おたるエコマネー実行委員会 「タル」
●青森県 エコマネーLASSEクラブ 「LASSE」
●岩手県 岩手県立大学地域通貨研究会 「結」
●山形県鶴岡市 鶴岡エコマネー研究会 「もっけ」
●新潟県上越市 おまんただすけい〜ねかね通貨研究会 「だすけ」
●群馬県前橋市・高崎市 前橋・高崎エコマネー研究会 「ありがとう」
●埼玉県飯能市 グリン倶楽部 「グリン」
●東京都多摩ニュータウン COMO倶楽部 「COMO」
●神奈川県大和市 神奈川県大和市 「LOVES」
●静岡県清水市 清水駅前銀座商店街振興組合 「E.G.G.S」
●兵庫県 西部  NPO法人千姫プロジェクト 「千姫」
●兵庫県宝塚市 NPO法人宝塚NPOセンター

(4).LETS系
  • 1.LETSの概要
  • LETSは、カナダのマイケル・リントン氏によって考案された地域内での交換交易システム(Local Exchange Trading System)である。
  • 米軍キャンプと材木業で成り立つ人口5万人程の町が、材木業の衰退と軍キャンプ撤退により経済的に深刻な状況に陥った。この状況を乗り越えるため単なる物々交換ではなく地域内でしか流通しないお金を考案した。
  • その仕組みは、「いずれの個人も、ある1メンバーに対して何らかのサービスを提供したからといって、即時にその人からの直接の返礼を期待せず、とりあえず2者間の合意形成の象徴としてコミュニティマネーが支払われ、取引が決着する。メンバー1人対1人での取引をみた際には、財やサービスの需給バランスが必ずしもとれていないものの、コミュニティ全体を長期的に見ると、取引に均衡が生じる。このような状況では、各個人は、自分が協力すれば他のメンバーも協力してくれる状況であると認知し、他者の協力を引き出すために協力を惜しまず行う」というものであった。
  • 2.LETSの取引きイメージ
  • 例えば、図1のように、AからFにメンバーの地域(コミュニティ)でサービスの交換に対し地域通貨(コミュニティマネー)が支払われているとする。

LETS参加者間の取引

  • 図1でなされた取引が、
  •   Aは、Dに対し50単位のサービスを提供する
  •   Cは、Eに対し20単位、Fに対し30単位のサービスをそれぞれ提供する
  •   Dは、Eに対し20単位のサービスを提供する
  •   Eは、Bに対し50単位のサービスを提供する
  • という内容であったとする。その時の地域通貨の動きを表に整理すると次のようになる。

LETS取引での地域通貨の動き

  • この状況を図示すると、図2のようになる。つまり、各個人ごとにみると、地域通貨が手元に残っている人もあれば、手元に残っておらず、いわば「貸し」を負っているような形となっている人もいる。しかし、地域全体でみると、プラス・マイナスは均衡しゼロとなっていることがわかる。

LETS取引のバランス

  • 3.LETSの特徴
  • LETSの特徴は、手元になければ財・サービスの購入はできない貨幣(円)と異なり、手元に地域通貨がなかったり、「貸し」を負っているような状況でも、コミュニティ内の取り引きに参加できる点にある。
  • 手元に地域通貨が残っている場合(黒字)はコミュニティ内に有益な財やサービスをより多く提供した人であり、「貸し」を負っているような状況の場合(赤字)は今後コミュニティに対して大きな貢献を果たす人材であると考えられている。
  • つまり、LETSは地域内(コミュニティ相互間)の相互信頼関係に基づいて運用されている。
  • 4.コミュニティ・ウエイという考え方
  • 第2章第3節「1980年〜90年代の地域通貨の勃興」で見られるように、地域経済の活性化を志向して産まれたLETSは、その後、世界各地に広まり、経済効果重視型として改良発展させる取り組みや、LETSをコミュニティ活動の一環として位置付ける取り組みなどの基となっている。
  • また、M.リントン氏は、個人間取引だけではなく、ビジネスとノンプロフィットを結び付けることで、企業やNPOなども参加できる発展的な仕組み「コミュニティ・ウエイ」を発案。そのイメージは、図3のとおりである。

コミュニティ・ウエイのイメージ

日本各地におけるLETS系の活動事例

●滋賀県草津市 NPO法人地域通貨おうみ委員会 「おうみ」
●東京都 NPO法人アースディマネー・アソシエーション 「アースディマネーr」
●大分県中津市 地域通貨fuku事務局「福は内バンク」「fuku」
●千葉県千葉市 NPO法人千葉まちづくりサポートセンター「ピーナッツ」  他

第3節 地域通貨発行形式

地域通貨の主な形式として以下のタイプがある。

第1項 紙幣形式

法定通貨の紙幣に類似した通貨である。地域で独自に決めるものであり、通貨のデザインも特色を出した通貨となっている。大きさも法定通貨にあわせているものや、電車の切符のようなもの、はがき大のものもある。田辺市の地域通貨「きしゅう券」は1万円札の大きさであり、財布に入れられる大きさとなっている。(下図参照)

長所としては、(1)法定通貨と同様に取り扱われ分りやすく、取り扱いが便利である。(2)裏書する場合は、少し煩雑になるが、裏書が無い場合は、煩雑さが軽減される。(3)不特定多数の広範囲に流通する可能性があることである。

短所としては、(1)大量に持参すると重くなる。(2)流通経路が特定されにくい(裏書の場合は可能)。(3)他の形式の通貨よりも紛失・貯めこまれる機会が多い。(4)通貨発行の条件の明確化と流通量の管理が必要であることである。

紙幣形式例 「きしゅう券」(表、裏)
紙幣形式例 「きしゅう券」(表)
紙幣形式例 「きしゅう券」(裏)

第2項 通帳形式

千葉県の地域通貨「ピーナッツ」などで普及している。紙幣のような通貨のやり取りではなく、預金通帳のようになっていて、取引時にいつ、だれと、なにを、いくらで取引したかを記入し、残高も分るようになっている。手持ちに通貨がなく、ゼロから始めることができる。サービスを与える場合はプラス、サービスをしてもらう場合は、マイナスであり、全体を足すとゼロになる。マイナスは負債と呼ばずにコミットメントと言う。

長所としては、(1)持ち運びが容易である。(2)いかなる数値(マイナス、端数)でも可能である。(3)製作コストは安価等であることである。

短所としては、(1)取引時に記入しなければならず、煩雑である。(2)記入ミス等が生じる。(3)改ざんされる可能性がある。(4)参加者数、参加店舗が多くなると記入ミス、改ざん等のセキュリティ面で限界があることである。

地域通貨取引通帳(例)

取引年月日 取引相手 取引内容
(サービス、
物品等)
取引勘定 残  高 取引相手
サイン
提供時 受領時
第3項 手形形式

日本ではあまりなじみがない通貨形式である。取引が成立したときに、本票と控えに、いつ、誰に、いくら、及び取引内容を用紙(小切手)に記入し手渡す。小切手を受け取った人は事務局へ行き、支払い側口座から受け取り側口座に金額を移し替えてもらう。

長所としては、(1)通帳形式と同様にいかなる数値に対しても対応可能である。(2)控えがあり、支払い履歴の把握が可能であることである。

短所としては、(1)受け取り側が、事務局へ持参または郵送する必要がある。(2)小切手になれていないため、活用されにくい可能性があることである。

第4項 その他の形式

電子自治体を目指してICカードが各地で導入されている。

例えば、岐阜県益田郡の「湯遊カード」、長野県駒ヶ根市の「つれてってカード」、鳥取県出雲市「市民カード」、岡山県岡山市の「岡山ふれあいカード」等各地で行政サービスの効率化、向上を目的に導入されているが、特に、神奈川県大和市のようにICカードを更に発展させ、住民参加を促進するために、行政サービスの「住民情報系」と地域通貨「LOVES(ラブス)系」サービスを分け、ICカードに地域通貨を繰り込んでいる特徴的なカードもある。

第4節  国内地域通貨事例の紹介
第1項 さわやか福祉財団系
(1)和歌山県田辺市 「きしゅう券」
概要 NPO法人「和歌山県健康アシスト協会」は、「国民が夢と感動に胸ときめく、心豊かな生きがいのある人生であるために、欠く事の出来ない心の健康、身体の健康、健やかなふるさとの維持増進を図るために必要な事業を行い、やすらぎと潤いのある福祉社会の推進に寄与する」ことを目的に設立された。現在、個人会員133名、法人会員16名、15名の理事から構成されている。特に、福祉に関してハード面は整備されてきているが、人間関係等のソフト面が希薄になってきており、心の病が増えてきている。地域通貨「きしゅう券」は、「希薄になった人間関係を取り戻し、地域社会の活性化と地域経済の活性化に寄与する」ことを基本理念として、7つの活動の種類と8つの事業のうちの「心豊かな地域社会で相互扶助を促す事業」の一環として立ち上げられた。
流通範囲は、11市町村(田辺市、すさみ町、日置川町、白浜町、上富田町、大塔村、中辺路町、本宮町、龍神村、南部町、南部川村)を対象としており、3万人の会員を予定している。
平成15年2月20日現在、田辺市内150店舗が協賛店として加盟している。
各町村で各10店舗ほど協賛店を予定しており、全部で250店舗程度になる。
平成15年4月から本格稼動する。2月20日現在、86名の会員数である。
設立場所 和歌山県田辺市下屋敷町90-2
設立時期 平成14年(2002年)1月7日 NPO法人認証
運営主体 運営主体:和歌山県健康アシスト協会
活動主体:きしゅうクラブ
通貨形式 紙幣形式(愛称「きしゅう券」)
単位 特に「きしゅう券」には数字の標記がない。交換は1件1枚とするため。
通貨基準 受けたサービス30分以内を目安に「きしゅう券」1枚に換算
兌換性 不可
流通範囲 11市町村(詳細の市町村名は概要を参照)
参加方法 「きしゅうクラブ」に入会し、入会金1,000円で2枚渡される。1000円の寄付で、3枚手渡される。善意と信頼の交換リスト「してほしいこと」「できること」を登録する。
その他特徴 ・有効期限:発行から6ヶ月
・サービス交換の第1回目は、必ずコーディネーターが仲介する。
・無効券10枚で新券1枚と交換
・ウオークラリー、ふれあいの会を企画し交流及び会員を募る。
・参加者全員にボランティア保険に加入する。

地域通貨「きしゅう券」パンフレット
地域通貨「きしゅう券」パンフレット
地域通貨「きしゅう券」パンフレット

地域通貨「きしゅう券」協賛店ステッカー
地域通貨「きしゅう券」協賛店ステッカー

第2項 タイムダラー系
(1)愛媛県越智郡関前村 「グループだんだん」
概要 愛媛県内で活躍する「長寿社会を考える研究会」の調査から、住民の島への愛着の強さ、青壮年と老年層とのコミュニケ−ションギャップの大きなことが明らかになった。
昔からの相互扶助の再構築、地域の連帯意識を復活させ地域づくりに生かすため、アメリカで始まったタイムダラーのシステムを平成7年に日本で初めてに導入した。
「だんだん」とは、方言で「重ね重ねありがとう」の意味である。
入会時にトランプに使用されるチップ20枚が渡される。会員の合意で作られたサービスメニュ−を中心に7グループのリーダー(世話人)がサービスの提供者、利用者をコーディネートする。チップが無くなれば世話人からもらえ、年度が変われば新規チップ20枚から始める。交換したチップ数を世話人が記録をしており、年度末にチップを多く交換した会員にアメリカのタイムダラー本部から表彰状が送られてくる。
設立場所 愛媛県越智郡関前村岡村 関前村高齢者福祉センター内
設立時期 平成7年7月
運営主体 グループだんだん
通貨形式 チップ
単位 だんだん(方言で「重ね重ねありがとう」という意味)
通貨基準 サービス30分=1だんだん
兌換性 不可
流通範囲 関前村役場所在地の岡村島
参加方法 年会費500円で誰でも参加できる。入会時に会員カードと「だんだんサービスメニュー」に「できること」、「してほしい」ことを記入し登録する、コーディネーターは、これに基づいてマッチングさせる。入会時に20枚のチップを受け取る。
その他特徴 アメリカで生まれたタイムダラーのシステムを初めて導入した。
お金は一切からませない。行政の支援を受けずに運営している。時間預託とは異なり、チップを貯めることを目的としていない。
第3項 エコマネー系
(1)兵庫県宝塚市 「ZUKA」
概要 2000年8月NTT、宝塚市、特・宝塚NPOセンターによりエコマネーの有効性の検証、現時点における可能なITの有効性・実行可能性を探る目的として第1回の共同実験を行う。参加者は189名
宝塚エコマネー実験運営委員会(まちづくり協議会、宝塚市、宝塚NPOセンター)とサポート委員会(NTT、NTT西日本、(株)野村総研、日本システム開発、宝塚市、宝塚NPOセンター)及び地域運営委員会を設置し、事務局を宝塚NPOセンターに置く。
まちづくりの手法として宝塚市全域への普及をはかる目的で第2回の共同実験を2001年6月〜11月まで実施、ダイエー宝塚中山店、グルメシティー小林店も参加し、買い物袋持参運動に賛同し「お買い物袋スタンプカード」のスタンプ20個が貯まれば1000ZUKAと交換できる。また、障害のある人の買い物に同伴介護する人にサービスカウンターで1000ZUKAが配布される。
2002年8月〜2003年1月まで、第3回共同実験が実施されている。
事務局は、全体調整、視察・プレス対応、会員名簿・リスト作成、会員・サービスデータ更新、実験結果分析報告書作成を行う。
設立場所 兵庫県宝塚市栄町2-1-1 ソリオ1-3F 特定非営利活動法人宝塚NPOセンター内(http://www.kansai.ne.jp/zukanpo/
設立時期 2000年(平成12年)8月導入
運営主体 宝塚エコマネー実験運営委員会
通貨形式 紙幣形式 地域別に色刷り 1000ZUKA、100ZUKAの2種類がある。
単位 ZUKA
通貨基準 1000ZUKA=30分
兌換性 不可
流通範囲 実験参加地域:中山台コミュニティ連合会、一小校区、コミュニティすみれ、光が丘、特・めふのお家、宝塚NPOセンター
参加方法 「住所」、「氏名」、「提供できるサービス・して欲しいサービス」などを申込書に記入し、 ボランティア保険料(500円)を沿えて地域の運営委員会に提出する。申込み時に1000ZUKA10枚、100ZUKA10枚とサービスメニュー表などが配布される。手持ちエコマネ−が無くなれば再交付される。
提供対象=宝塚市民(エコマネー会員でない方は、スマイルカウンターで申込書を受け取り地域の窓口又は宝塚NPOセンターへ申込が必要)。
会員者 189人
その他特徴 留守中の庭木への水遣り、家事援助グループの活動、パソコンの家庭教師、パソコンによる文書作成、フォーラムのテープ採りをPCにより文書化、包丁とぎ等おもにサービスを交換する。行政、企業、NPOの協働による地域通貨である。エコマネーシステム、相互扶助支援システム等のITの活用実験も兼ねている。
(2)北海道夕張郡栗山町 「クリン」
概要 1999年(平成11年)7月エコマネーの提唱者加藤敏春氏を招き「エコマネー研究会」を開き、平成11年9月に「くりやまエコマネー研究会」を発足させた。2000年(平成12年)2月から2ヶ月間第1次試験流通(参加者256名)、平成12年9月から3ヶ月間第2次試験流通(参加者553名)を実施。2001年(平成13年)9月から18ヶ月間第3次試験流通(参加者747名)実施中である。第2次試験流通からクリンを貯めずらい高齢者への配慮等と環境への取り組み(ごみの減量化、資源リサイクルの促進)から「エコポイント制度」を導入している。5ポイントで500クリンと交換できる。
平成14年9月から12月末までに、58店舗が参加し、900ポイント即ち180枚のレジ袋、包装袋が節約された。
除雪、高齢者との話し相手、家事援助などお互いにできること、してほしいこと等生活援助等のサービスメニューの候補リストにより流通させている。
日本最大のエコマネーに発展している。
設立場所 北海道夕張郡栗山町中央3丁目324番地1 (いきいき交流プラザ内)
設立時期 2001年9月
運営主体 くりやまエコマネー研究会(http://www.npo-kc.net/
通貨形式 紙幣形式 100、500、1000クリン
単位 クリン
通貨基準 500クリン=30分
兌換性 不可
流通範囲 栗山町内の試験流通に参加した人の間で流通
参加方法 試験流通への参加者を募る。
その他特徴 平成12年から平成15年3月現在までに第3次試験流通を実施中であり、エコマネーの実施状況をアンケート、流通状況を分析している。
年齢、性別を問わず、広範囲の層から参加している。
(3)神奈川県大和市 地域通貨「LOVES(ラブス)」
概要 経済産業省の「ICカードの普及によるIT装備都市研究事業」として大和市が採択されて、全国に先駆けて行われている事業であり、ICカード及びシステム開発、整備の費用は国が負担している。
ICカードは、次のような特徴を持っている。
(1)行政サービス基盤関連事業系(住民情報)
PKI基盤(Public Key Infrastructure)による高いセキュリティと市民が多様な行政サービスを安全かつ容易に利用できる機能
・住民票の交付、印鑑証明の交付、国民健康保健証としての利用、デジタル写真による市民証、
(2)地域通貨「LOVES」関連事業系
地域の価値を交換するシステム(Local Value Exchange System)
・公共施設や講座の利用、学習センターが主催する講座や催しものの予約
・ものを大切にするシステム:家庭で不用になったものを登録し、希望者へ提供する。
・人を大切にするシステム:「できること」「してほしいこと」を登録し、ふれあいの場を作る。
ICカードに初め10,000ラブが入っており、1年間でいくら使っても、もらっても、年末に10,000ラブに戻るシステムになっている。「ラブス」は使うことに意味がある交換の道具である。人と人との信頼関係を作るものである。
大和市人口21万7千人中、希望者9万1千人(約42%)にICカードが手渡されている。
設立場所 神奈川県大和市役所
設立時期 平成14年4月
運営主体 LOVES運営委員会
事務局:神奈川県大和市役所 (2003年以降はNPOに運営、管理を移管予定)
通貨形式 ICカード(電子マネー)
単位 ラブ
通貨基準 はっきりした基準がないが、ラブ通信によれば取引実績から1ラブ=1円
兌換性 不可(交換すると利用停止となる)
流通範囲 大和市中心
参加方法 大和市へ所定の申請書で申請する。参加資格:大和市の住民基本台帳に記録されている人、市長が認めた人等。
その他特徴 ICカードに、地域通貨を組み込んでいるのが特徴である。
商店などは、来店者に30ラブ贈呈など集客用に利用している。
地域通貨「LOVES」の使用にあたって「LOVES全体ルール」が定められており、違反者は、使用中止となる。
ICカード利用については「大和市ICカードの利用に関する条例」で規制している。
第4項 LETS系
(1)千葉県千葉市 「ピーナッツ」
概要 1999年2月NPO法人千葉まちづくりサポートセンターの運用と同時に地域通貨「ピーナッツ」が始められた。
商店の活性化と地域における助け合いを目的としている。当初は小切手形式であったが、1999年9月から大福帳形式となった。当初から商店街の活性化は関心事であり、「ゆりの木商店会」(30店舗)をターゲットとした。しかし、はじめは気運が高まらなかったが、美容院経営の商店会長が積極的に導入に取り組み、2000年4月から歯科医、革カバン店も加わった。2000年6月に野栄町と商店会との交流が始まり、2000年8月に「ゆりの木商店会」の夏祭りに野栄町の人も参加し、地域通貨「ピーナッツ」への関心が高まった。2000年12月から「地域通貨塾21」を運用している。2002年(平成14年)9月で会員数595人となっている。
平成13年商店街の売上が対前年5%アップした。また、平成14年1〜2月は対前年同期比 10%アップ 店によっては27%アップしたという。
設立場所 千葉県千葉市稲毛区穴川1-3-1
設立時期 1999年(平成11年)2月
運営主体 NPO法人千葉まちづくりサポートセンター(ボーンセンター)(http://www.jca.apc.org/born/
通貨形式 通帳形式(大福帳と呼ばれる)
単位 ピー
通貨基準 1000ピ−=1時間、1ピー=1円
兌換性 不可
流通範囲 千葉市サポートセンター管内、ゆりの木商店会、野栄町
参加方法 既に登録しているメンバーの推薦があれば誰でも参加できる。参加手続きは、所定の用紙に必要事項(できること、してほしいこと)を記入して事務局に送付するだけ、入会金、年会費は不要。
会員数 平成14年9月5日現在 会員数595人 (個人542人、事業者53)
その他特徴 大福帳は四半期ごとに事務局へ返送し、残高がプラスの場合には月1%の割合で事務局が手数料を徴収する。これによって流通が促進される。マイナスの場合は、そのまま繰り越される。取引完了時に必ず「アミーゴ」といって握手しスキンシップを図ることが掟である。
(2)滋賀県草津市 「おうみ」
概要 「おうみ」の起源は、草津コミュニティ支援センターの市民活動をサポートするために用いられていた「センタークーポンおうみ」である。
1999年6月に「1おうみ」「5おうみ」「10おうみ」の紙券を発行した。「おうみ」を手に入れるには、センター内の会議出席、掃除等であり、利用はセンター内の利用料金のみであることから「おうみ長者」が現れたため、相互扶助システムとして個人間のサービスのやり取りへと拡大した。
2001年1月「滋賀京阪タクシー」が地元地域への貢献をするという意図から「おうみ」の使用協力をしてきた。また、草津市の「シネマハウス」も使用協力をしてきた。私企業の参入により、責任の所在をはっきりさせるため「おうみ」事業部が「地域通貨おうみ」として独立し2000年10月に「地域通貨おうみ委員会」が設立された。現在は、「1おうみ」「10おうみ」の2種類の紙券が発行されている。2001年(平成13年)4月に事務局を「ひとの駅」に移した。2002年(平成14年)4月にNPO法人として認証された。
一方、商店街と連携したゴミ減量や地元商品購入者に「おうみ」シールを渡し、10枚で「1びわこづち=100円(陶製コイン)」と交換できるシステムを試験的に実施している。また、2002年10月には、NPOと商店街と連携した「おうみありがとう券」が発行され試験的に実施されている。
現在「おうみ」のユーザーは200名程度である。
設立場所 滋賀県草津市草津2丁目8番25号
設立時期 1999年(平成11年)4月
運営主体 地域通貨おうみ委員会 (http://www.kaikaku21.com/ohmi/
通貨形式 紙幣形式 1おうみ、10おうみの2種類がある。
単位 おうみ
通貨基準 1おうみ=100円、10おうみ=90分のサービス
兌換性 不可
流通範囲 草津市市内及び大津市、守山市内
参加方法 地域通貨「おうみ」ユーザー会員申込書に必要事項を記入し、新規ユーザー登録の場合年会費500円で5おうみを受け取る。また、おうみファンド寄付100円につき1おうみを受け取ることにより参加できる。登録時に達人リスト登録をおこない、提供できるサービス、求める物やサービスを登録する。
その他特徴 おうみファンドを設立して市民基金としている。生ゴミの堆肥化に「やさいくるプロジェクト」や「おうみ貸し出し制度」により、各種団体にこのシステムを無料貸し出しを行っている。

<地域通貨「おうみ」の風景>

「ひとの駅」前の看板
「ひとの駅」前の看板
草津市内の商店街
草津市内の商店街
「ありがとう券」取扱店表示
「ありがとう券」取扱店表示
地域通貨「おうみ」、「びわこづち」、「ありがとう券」
地域通貨「おうみ」、「びわこづち」、
「ありがとう券」
(3)東京都渋谷区 「アースディマネー」(http://www.earthdaymoney.org/

【概要】

ア)アースディマネーのイメージ

地域通貨「アースディマネー」は、毎年4月22日に「地球のために行動しよう」をスローガンに世界中でイベントが行われる「アースディ(地球の日)」にちなんで着想された名前である。

LETS系の項で述べたコミュニティ・ウェイをプラットホームとしている。

アースディマネーは、NPO法人「アースディマネー・アソシエーション」が運営しており、地域づくり、地域経済の活性化等、地域貢献活動と地域内の消費活動の促進及び広域的な活動を推進するプロジェクト志向の地域通貨である。農村と都市との交流による活性化も目指しており和歌山県にとって大いに参考となるため若干詳しくここで記述する。

尚、「アースディマネー」の単位は“r”である。(riverのrから由来)

通貨は切符サイズの紙幣形式で、50r、100r、500rの3種類がある。

1r=1円の基準、円との交換は不可である。

「アースディマネー=“r”」の取引イメージ図
「アースディマネー=“r”」の取引イメージ図

イ)8つのプロジェクト
 1.渋谷川グッドデザイン計画
  • その上流が、かつて童謡「春の小川」といわれた渋谷川に、自然の景観を取り戻す。当面の目標はコンクリートの護岸に溶岩のパネルを張り、緑の育つ環境を形成すること。
 2.クリーンエナジーリバー計画
  • 太陽光、風力、自転車等を活用した照明、ラジオ、楽器などを導入する。
 3.ゴミゼロ運動
  • 渋谷周辺に散乱したゴミを拾い、地域の環境を整備する。
 4.NPOの広告キャンペーン
  • 渋谷にゆかりのあるNPOの活動内容を広報することで活動を支援する。
 5.コミュニティアート
  • 壁面等に市民参加によるペインティングを施したり、環境に関するメッセージを発信するアート作品を屋外展示する。
 6.ホームレスの自立支援
  • ホームレスの職業訓練や自立を支援する。
 7.都市と農村の交流
  • 都市から農村へは農作業支援、農村から都市へは朝市などの開催を通じて都市と農村の交流を図る。
 8.アースディ東京開催
  • 4月22日前後に開催される「アースディ東京」を支援する。

 

【活動の成果及び活動経過】

ア)アースデイマネー
<シブヤプロジェクト>version01成果

2001年10月23日から2002年4月22日の間実施され、寄付又は活動によるプロジェクトへの貢献者総数は759人を数えた。

円による寄付金総額は505,000円であり、その“意思を持ったお金”の内訳は表1のとおりとなっている(rによる寄付金は表2)。この金額がそれぞれのプロジェクトの推進母体(団体等)へ渡され、活用される予定となっている。

また、活動による貢献は、“スカベンジャー(ゴミを拾う人)”によるゴミゼロ運動がその中心となっていた(1時間で500r)。

イ)アースデイマネー<シブヤプロジェクト>version02について

version01の8つのプロジェクトをそれぞれ継続、発展させていくために、’02年4月23日からversion02が引き続き実施されている。(次頁のパンフレット参照)。

注目すべき点は、通貨の有効期限がなくなったことに加え、都市と農村の交流プロジェクトが本格的に動き出したことである。

「都市を素敵な場所にすることと、農村で農作業をすることとは、どこか相通じるところがあるのではないか」(嵯峨生馬氏:NPO法人アースデーマネーアソシエーション副理事長)と言う言葉が示すように、東京・渋谷生まれの地域通貨が、地理的な地域にとらわれず、一定の価値観に基づくコミュニティで流通する可能性が試されている。

  • プロジェクトには、
  •   (1)山梨県白州町・えがおファーム      無農薬・有機農場での農作業、
  •   (2)千葉県君津市・アースディの森づくり   雪害で倒木した森の再生、
  •   (3)新潟県上越市・上越・くわどり村      茅刈りによる茅葺屋根の古民家再生
  • といったメニューがある。

その他、’02年8月31日には、NPO法人富士山クラブと共催で「フジヤマ★スカベンジ大作戦」が繰り広げられた。参加費用は5,300円(300r+5,000円)、作業のお礼は2時間1,000rであった。また、’02年10月に東京渋谷で朝市が開催された。土がついたままの野菜が並べられ、普段は受け取る側である渋谷のカフェなどが地域通貨“r”を使う機会となった。

アースディマネー<シブヤプロジェクト>version02のパンフレット
アースディマネー<シブヤプロジェクト>version02のパンフレット アースディマネー<シブヤプロジェクト>version02のパンフレット

地域通貨“r”は、NPO法人「アースデーマネー・アソシエーション」が運営しているが、個々のプロジェクトの運営はそれぞれNPO団体などが推進母体となっており、都市農村交流においても、

  •   (1)=NPO法人えがお・つなげて、コミュニティ通貨委員会、
  •   (2)=森林塾かずさの森
  •   (3)=NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部

となっている。このことは、地域通貨がツール(道具)であることを如実に物語っていると考えられる。

<えがおファームでの取り組み>

「朝早いですが、気持ちのよい空気を吸いながら草取りを手伝ってください。その後、一風呂浴びて、午後からカイシャ、なんていうのもいかがですか?」

‘02年8月中の平日、月曜日から金曜日の毎朝7時から9時の2時間、山梨県白州町の「えがおファーム」で実施された活動の誘い文句である。

「えがおファーム」は、野菜を完全無農薬・有機栽培し、農作業を通じて得た作物を一緒に楽しくおいしく味わうことによって、「自然とのつながり」を大切にする活動に取り組む「NPO法人、えがお・つなげて」、が運営する、約1町歩におよぶ畑のことである。

1日2時間、草取りや収穫作業を行なうことで参加者は1,000rの地域通貨を得ることができる。

“r”が使える宿泊施設が白州町に現れている。

また、10月26日には大豆の収穫、12月8日には収穫した大豆を使った手前味噌仕込み会が催された。これらの行事は参加費が必要であるが、“r”での支払い(一部)も可能とされていた。

アースディマネー<シブヤプロジェクト>version02のパンフレット

<アースディの森づくりでの取り組み>

アースディマネーと千葉県君津市「NPO法人森林塾かずさの森」と提携して、「雪害エリアの広葉樹植栽による森の再生事業」の一環として広く植栽活動を呼びかけ、参加者に作業のお礼として“r”を手渡す活動をしている。

<上越・くわどり村での取り組み>

四方を山に囲まれ、古い民家と静かな農村風景のある新潟県上越市くわどり村において、7軒ほどの集落のトタン屋根を茅葺き屋根に葺き直し、古い民家を再生させ、農村の景観を甦らせようとする活動である。

毎回、5〜6名募集し、茅の刈り取り作業、同時にソバ作り(蒔き)作業、コシヒカリのハサかけ作業も実施する。

2時間の作業のお礼に1,000rを手渡す。


【アースディマネーの今後の展開】

地域通貨の使えるカフェ『gabowl』(ガボウル)が東京・渋谷にオープンした。

コンセプトは「農村の入口」。地下一階の隠れ家のようなカフェで、おいしい野菜が食べられるだけでなく、農作業で手にした地域通貨はカフェで使え、数ヵ月後には自分が手がけた野菜が食べられるという仕組みとなっている。

また、本格的な「都市と農村の交流」を目指し、NPO設立も視野に入った取り組みがなされている。

第5項 その他の地域通貨
(1)福井県小浜市 「おばま地域通心券マリン」
概要 小浜市ではこれからの町づくりに地域通貨が必要と認め導入を提案し、市民に研究会の発足を呼びかけた。平成13年10月16日に市民約20人によるボランティア団体「おばま地域通貨研究会」を設立した。
小浜市も補正予算で補助金30万円を措置し、先進地視察経費(「おうみ」「クリン」等)、学習会講師謝礼、市民への広報用チラシ作成費用などをバックアップした。
地域活性化を目指した導入の目的は、次の通りである。
(1)お互いに気軽に頼める、近所づきあいづくり
(2)子どもからお年寄りまでがお互いに手伝うことのできる地域社会づくり
(3)薄れつつある助け合いの心づくり
地域通貨のことをお互いに助け、助けられる関係から「地域通心券」と名付けた。
第1次試験を平成14年4月7日〜6月30日間で実施
第2次試験平成14年12月1日〜平成15年2月28日まで実施されている。
マリンを入手するためにはマリンが発行される(個人やイベントなど)ボランティア活動に参加活動する。おばま地域通貨研究会に寄付金(維持運営費)を払う。
(500マリン=200円)
試験に参加する人は、100マリン5枚とメニュ−が配布される。
おばま「地域通心券マリン」運用規則、マリン寄附金取扱要領、マリン利用に当たっての注意事項の諸規定を整備し、運用にあたっており充実してきている。
第2次では、マリンの運営への協力店も加わっており新たな取り組みをしている。(寄附金と広告蘭への広告地域通心券のデザインを一新している。)
設立場所 福井県小浜市
設立時期 平成13年(2001年)10月16日
運営主体 おばま地域通貨研究会(小浜市ボランティア支援センター内)
http://www.oba-volun.net/
通貨形式 通帳形式5回まで取引記入(はがき大になっている)
単位 マリン
通貨基準 1単位(30分)=100マリン
兌換性 不可
流通範囲 小浜市内
参加方法 試験参加には、所定の申込み用紙に必要事項を記入し、100マリンとメニュリストを入手する。対象は、小浜市在住又は勤務している人で、小学生から高齢者まで誰でも参加できる。
その他特徴 市民と行政のバックアップで立ち上げられてきている。
地域通貨関連参考URL一覧表(付録)
http://www.sawayakazaidan.or.jp/chiikitsuka ふれあい・支え合いのきっかけづくり〜地域通貨
http://www.nalc.jp/ [ NALC ]ニッポン・アクティブライフ・クラブ
http://www.p-alt.co.jp/ プレスオールターナティブグループ
http://www.biwako.ne.jp/~nt-tenki/ 子どもエココイン〜21世紀地球的プロジェクト
http://nv.pref.ehime.jp/servlet/Kokai 愛媛ボランティアネット トップページ
http://www.hnpo.net/n/zukanpo/ 宝塚NPOセンターmenu
http://www.npo-egao.net ●●●NPOえがお・つなげて●●●
http://www.earthdaymoney.org/ earthdaymoney.org
http://www.oba-volun.net 小浜市ボランティア支援センター
http://www.ccforum.jp 地域通貨フォーラム
http://www.ecostyle.net/ エコスタイルネット
http://www.ad-money.com 広告付労働交換チケット アドマネーARCH
http://www.1000hime.jp 〜姫路ITエコマネーアクション〜 2001千姫プロジェクト
http://www.q-project.org/ Qプロジェクト
http://cc.econ.hokudai.ac.jp/ 西部忠web-site
http://www.shoutengai.co.jp 株式会社 商店街ネットワーク
http://www.sotokoto.net SOTOKOTO.net

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