グラフで見る和歌山県経済指標(2022年秋期)
和歌山県経済は、生産活動が一部で持ち直す中 全体としては、コロナ感染の再拡大の影響が見られる |
日本経済の現状(内閣府「月例経済報告 2022年9月」 ) |
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景気は、緩やかに持ち直している |
・「国内景気」に関する判断は、新型コロナ禍「第6波」の収束もあり、7月に上方修正された ・世界的に金融引締めが進む中で、「世界景気」に関する判断は「緩やかな持ち直しが続いている」に引き下げられている。 ・ |
日本経済の見通し(内閣府「月例経済報告 2022年9月」 ) |
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先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。 |
・9月から「ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中」との表現が追加された。 |
和歌山県に関する経済指標の概況(9月公表の指標を中心に) |
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○百貨店・スーパー販売額(全店、8月)は、4か月ぶりに前年を上回る ○新車販売台数(軽自動車[乗用]含む、8月)は、新車供給難もあり、15か月連続で前年を下回る ○1〜8月累計での新設住宅着工戸数は、前年同期比7.0%増 ○鉱工業生産指数(7月)は、前月比6.1ポイント下降 ○公共工事請負金額は、2021年後半以降、減少傾向が見られる ○消費者物価(8月)は、総合指数が4か月連続で過去最高値を更新 ○有効求人倍率(8月)は、前月比0.04ポイント下降 |
百貨店・スーパー販売額(全店、8月)は、前年比1.7%増となり、4か月ぶりに前年を上回った。7月に入り、新型コロナの感染者数が増加に転じ、8月19日には1日当たりの新規感染者数が過去最高を更新した(2,381人)。その結果として、8月上旬は商業施設等における人出状況が悪化した。ただし、昨年のように、緊急事態宣言等の行動制限が発出されなかったため、お盆の帰省客を含めて、中旬以降の人出は昨年を上回った。近鉄百貨店和歌山店の販売額(8月)は、前年比6.1%増で、客数も同6.2%の増加となった。先行き見通しに関しては、和歌山市における食料価格が1970年以降の最高水準にまで上昇しており、消費者の節約志向が高まり、スーパーを中心に販売額の減少が懸念される。 |
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新車販売台数(軽自動車[乗用]含む、8月)は、前年比12.7%減となった(減少は15か月連続)。世界的な半導体不足に加えて、コロナ禍による部品供給網の混乱で新車の供給不足が続いている(大手自動車メーカーが10月の大幅減産を発表)。2022年3月以降の中国における都市封鎖の影響は緩和されているものの、部品調達難の状況は継続する模様。 | ![]() |
新設住宅着工戸数(8月)は、前年比18.5%増となり、3か月ぶりに前年を上回った。ただし、1〜8月累計での着工戸数は前年同期比7.0%増となっており、20年4月以降、大幅な減少が続いていた着工戸数だが、「分譲住宅」を中心にやや持ち直しの動きが見られる。ただし、先行きに関しては、資材価格高騰の影響による建設コストの増加から、着工戸数の伸び悩みが予想される。 | ![]() |
家計消費支出(除く住居等、7月)は、前年比14.0%増と前年を大きく上回った(増加は2か月連続)。7月に入り、新型コロナの感染者数が増加に転じたものの、和歌山県による外食需要喚起策(わかやま飲食店応援キャンペーン)などの効果もあり、「一般外食」への支出額が大幅に増加した。また、消費者の外出意向の高まりを背景に、「被服及び履物」への支出額も増加している。 |
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鉱工業生産指数(7月)は、前月比6.1ポイント下降(下降は4か月ぶり)。鉄鋼業が2020年4月以来の90台の水準まで回復する一方で、機械工業が大きく下降した。6月の指数では、生産用機械、電気機械において持ち直しの動きが見られていたが、再び指数は下降に転じた。先行きに関しては、世界経済の減速懸念や原材料価格の高騰の影響、国内での新型コロナの新規感染者数の増加の影響に留意する必要がある。 | ![]() |
公共工事請負金額(8月)は、前年比12.5%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。ただし、増加要因としては、阪和自動車道和歌山IC付近の橋梁更新工事の寄与が大きく、国・県発注の公共工事請負金額は前年を下回っている。4〜8月累計での請負金額は前年同期比6.1%減となっており、2021年後半以降、県内の公共工事請負金額には減少傾向が見られる。地域別では、田辺地区、新宮地区、岩出地区、和歌山地区で減少が目立つ一方、すさみ串本道路関連の工事が続く串本地区や橋本地区、湯浅地区では増加している。 |
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TDB 景気DI(8月)は、(株)帝国データバンクが月次で実施している景気動向調査から算出された景況感を表す値である。この値が50を超えると、現在の景気を「良い」とする事業者数が「悪い」とする事業者数を上回る。8月の景気DIは前月から3.7ポイント上昇した。上昇は2か月ぶり。3年ぶりに行動制限のない夏季観光シーズンを迎え、観光需要が持ち直し、サービス業などで景気DIが上昇した。ただし、帝国データバンクは「仕入価格の高騰を要因に利益確保に苦慮する企業も多い状況が続いている。」、「県内景況は当面DI値40を挟んだ、低位での一進一退が続く見込み。」としている。 |
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消費者物価指数(和歌山市、8月)は、総合・コアコアCPIともに上昇傾向にある。総合については、1970年以降の最高値を4か月連続で更新している。高値水準が続く原油価格を背景に電気代・ガス代などのエネルギー価格が上昇する中、原材料価格の高騰、円安進行、物流網の混乱などを要因として、食料品価格や耐久財価格も上昇している。さらに、足下では教養娯楽サービス(宿泊料、入場・観覧料を含む)においても、価格の上昇傾向が見られる。 | ![]() |
有効求人倍率(8月)は、前月から0.04ポイント下降し1.13倍となった(下降は6か月ぶり)。有効求人数・有効求職者数がともに減少する中、減少幅か有効求人数が上回った。教育、学習支援業、医療・福祉等の分野において、新規求人数が前年に比べて減少した。また、事業主都合による離職者が9か月ぶりに増加した。 7月に入り、新型コロナ感染が拡大した。県内では感染拡大期には求人数、求職者数ともに減少する傾向があり、今後の動向に注意を要する。 |
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(2022.12)